※以下、「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章シーズン8第6話のネタバレを含みます。
人々を団結させるものとは?
軍? 金? 旗?
物語だ
この世で物語以上 強力なものはない
byティリオン・ラニスター(シーズン8・エピソード6「鉄の玉座」)
ティリオンがこう語るように、「ゲーム・オブ・スローンズ」の世界でもっとも重要なのは物語かもしれない。
七王国初の騎士、また初のキングズガード(王の盾)のブライエニーも後世に大切な物語を残した。“サー・ジェイミー・ラニスター”の輝かしい物語を。
この記事では「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章シーズン8の最終話でブライエニーが“兄弟の書”につづった、伝説の騎士ジェイミー・ラニスターの功績の
- 英文
- ざっくり翻訳
を書き下ろしてみました。解説もつけております。
翻訳のプロではないですが、英語には自信があるのでだいたいの内容は合ってるかと思います。良ければ参考してください。
もくじ|読みたいところにジャンプ
そもそも“兄弟の書”とは?
“兄弟の書”(The Book of Brothers または The White Book)はシーズン4・エピソード1「二本の剣」に登場した本。ここには、ターガリエン初代王朝を築いたエイゴン征服王(Aegon the Conqueror)が七王国のトップに君臨して以来、すべての騎士の功績が記録されている。
なお、最新の情報に更新(追記)することは、キングズガードの総帥(Lord Commander of the Kingsguard)の仕事のひとつ。
【英文&翻訳】ブライエニーが追記した“兄弟の書”の内容
それでは、本題に入ります。以下、
- ジェイミー自らが書いた文言
- ブライエニー総帥が追記した文言
に分けて“兄弟の書”に書かれてる内容を解説していきます。
ジェイミー自らが書いた文言
ブライエニーが“兄弟の書”に文言を書きたす以前、つまり
- 前々キングズガード総帥バリスタン・セルミー
- 前キングズガード総帥ジェイミー
が記した“サー・ジェイミー・ラニスター”の功績がこちら。肉筆が違うことから、「Thereafter~」以前がバリスタン、以降がジェイミーだと推測する。
Squired for Barristan Selmy against the Kingswood Outlaws. Knighted and named to the Kingsguard in his sixteenth year for valor in the field: At the Sack of King's Landing murdered his king, Aerys the second, at the foot of the Iron Throne:
Pardoned by King Robert Baratheon:
Thereafter known as the Kingslayer:
After the murder of King Joffrey I by Tyrion Lannister served under King Tommen I:
ざっくり翻訳
~バリスタン・セルミー記~
Squired for Barristan Selmy against the Kingswood Outlaws.
“王の森”の無法者と戦うバリスタン・セルミーの従者をつとめる。
Knighted and named to the Kingsguard in his sixteenth year for valor in the field: At the Sack of King's Landing murdered his king, Aerys the second, at the foot of the Iron Throne:
戦場での勇気が評価され、16歳にして騎士またキングズガードに叙任される。キングズ・ランディングの略奪では、自らの王であるエイリス・ターガリエン2世を“鉄の玉座”のふもとで殺した。
Pardoned by King Robert Baratheon:
ロバート・バラシオン王によって赦免さる。
~ジェイミー・ラニスター記~
Thereafter known as the Kingslayer:
その後キング・スレイヤー(王殺し)として知られる
After the murder of King Joffrey I by Tyrion Lannister served under King Tommen I:
ティリオン・ラニスターによってジョフリー1世王が殺害されたあと、トメン1世王の下で仕える
※キングズ・ランディングの略奪=ロバートの反乱
※エイリス・ターガリエン2世=マッド・キング(狂王)
ジェイミーは「キング・スレイヤー」と呼ばれることを嫌っていたのに、自らその名を書いていたんですね。(シーズン3・エピソード5「炎の口づけ」でジェイミーはブライエニーに“キング・スレイヤー”ではなく“ジェイミー”と呼んで、と言っていた。)
誇るべき実績がない、といった自虐ネタのようなものでしょうか。
ジェイミーは「ティリオンがジョフリーを殺した」のは間違いだったことを知りながらも、修正していないことに驚き。(シーズン7・エピソード3「女王の正義」でレディ・オレナが毒を飲み込む直前、ジョフリー殺しの罪を「It was me.(私だった)」とジェイミーに告白している。)
ブライエニー総帥が追記した文言その①
Captured in the field at the Whispering Wood: Set free by Lady Catelyn Stark in return for an oath to find and 〇〇 her two daughters. Lost his △△
※○○と△△の部分 は手で隠れて読めません。
ざっくり翻訳
Captured in the field at the Whispering Wood: Set free by Lady Catelyn Stark in return for an oath to find and ○○ her two daughters.
ささやきの森で捕獲されキャトリン・スタークが解放。
二人の娘を探し出し、○○ことを誓う。 ※○○はおそらく「return = 返す」
Lost his △△
△△を失った ※△△はおそらく「hand = 手」
シーズン1・エピソード9「ベイラー大聖堂」に勃発した“ささやきの森の戦い”はこのような流れだった。
- ロブ・スターク率いる北部軍はラニスター家の斥候(せっこう)を捕まえる
- ロブは「タイウィンに伝えろ。“冬来たる”と。お前が金のクソをするか2万の兵が確かめる。」と言い、斥候を開放する
- 実際はたったの2千人の兵士をタイウィンの陣営に向かわせる(見せかけのニセ隊)
- 残りの1万8千人の兵士をジェイミーの陣営に攻め込ませ、集中攻撃してジェイミーを捕虜にする(本隊)
※斥候(せっこう)とは、敵軍の様子や状況を探るひと
手を失ったのは、シーズン3・エピソード3「処罰の道」にて。レイプされそうになったブライエニーを助けたことにより、ロックに右手を切られる。(ブライエニーを守ったこと以外に原因はあったが)
ブライエニー総帥が追記した文言その②
Took Riverrun from the Tully rebels, without loss of life.
Lured the Unsullied into attacking Casterly Rock, sacrificing his childhood home in service to a greater strategy.
Outwitted the Targaryen forces to seize Highgarden. Fought at the Battle of the Goldroad bravely, narrowly escaping death by dragonfire. Pledged himself to the forces of men and rode north to join them at Winterfell, alone.
ざっくり翻訳
Took Riverrun from the Tully rebels, without loss of life.
命を奪うことなく、タリー家の反乱軍からリヴァーラン城を奪回。
Lured the Unsullied into attacking Casterly Rock, sacrificing his childhood home in service to a greater strategy.
大きな戦略のために、旧家キャスタリーロックを犠牲にしてアンサリードを誘い出す。
Outwitted the Targaryen forces to seize Highgarden. Fought at the Battle of the Goldroad bravely, narrowly escaping death by dragonfire. Pledged himself to the forces of men and rode north to join them at Winterfell, alone.
ターガリエン軍の裏をかいてハイガーデンを奪取する。“金の道”で勇敢に戦い、ドラゴンファイヤーをかろうじて逃れた。人間の軍に加勢することを誓い、独りで北に向かい、ウィンターフェルで合流した。
リヴァーラン城の奪回は、シーズン6・エピソード8「誰でもない者」にて。「命を奪うことなく」は厳密に言うと、正しくない。城の明け渡しを拒否した“ブラックフィッシュ”ことブリンデン・タリーは戦って殺された。
キャスタリーロックを犠牲にしたのはシーズン7・エピソード3「女王の正義」。ジェイミー自身が捕虜となった“ささやきの森の戦い”の作戦を使い、キャスタリーロックを捨ててタイレル家の本拠地ハイガーデンを落とした。
ドラゴンファイヤーを逃れたのは、シーズン7・エピソード4「戦利品」。独りで北に向かい、ウィンターフェルに到着したのはシーズン8・エピソード1「ウィンターフェル」。
ブライエニー総帥が追記した文言その③
Faced the army of the dead, and defended the castle against impossible odds until the defeat of the Night King. Escaped imprisonment and rode south in an attempt to save the capital from destruction.
Died protecting his Queen.
ざっくり翻訳
Faced the army of the dead, and defended the castle against impossible odds until the defeat of the Night King.
絶望的な状況のなかで、“死の軍団”に立ち向かい、ナイトキング(夜の王)が倒れるまで城を守った。
Escaped imprisonment and rode south in an attempt to save the capital from destruction.
投獄を免れ、王都を破壊から救うために南へ。
Died protecting his Queen.
女王を守って死す。
ナイトキングが倒れるまでウィンターフェルを守ったのは、シーズン8・エピソード3「長き夜」。
「投獄を免れ、王都を破壊から救うために南へ」は…ウソですね。ジェイミーが王都へ向かった本当の理由は、愛するサーセイのもとに戻るため。
「女王を守って死す」もウソ、というよりブライエニーはわざと表現を曖昧にしている。
ブライエニーによって後世に語り継がれる物語では、ジェイミーはどっちの女王(サーセイ or デナーリス)を守ったのかがあやふやとなった。ジェイミーを善人にみたてるためでしょうか。
最後に
当ブログでは、「ゲーム・オブ・スローンズ」の全シーズン・全エピソードの解説/感想を書いています。よろしければ、是非ご活用ください!
-
「ゲーム・オブ・スローンズ」解説ガイドブック!全73エピソードを攻略
世界各国で社会現象となった『ゲーム・オブ・スローンズ』を日本でも流行らせたい! そんな思いで、『ゲーム・オブ・スローンズ』のすべてのエピソードを解説することにしました。 当 ...
続きを見る
シーズン8をみるなら、2週間無料期間があるHuluがオススメです。