この記事では海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の解説・あらすじ・感想を書いております。今回は
- シーズン6:冬の狂風
- エピソード3:背任者
をネタバレありで紹介しますので、エピソードを一度観たうえで振り返りとして当ブログを確認いただければと思います。
シーズン6:冬の狂風
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すぐにわかる「背任者」のあらすじ
前回のおさらい(シーズン6、エピソード2:「故郷」)
- ブランはグリーンサイト(縁視力)の能力を使い、昔のウィンターフェルを見る
- ジョンの死を知った野人たちはキャッスル・ブラックに戻り、裏切り者たちを捕らえる
- ティリオンは鎖でつながれた2頭のドラゴンを解放する
- ラムジーは父ルースを殺して新しく北部総督となる
- アイアン・アイランドに戻ってきたユーロン・グレイジョイは、兄のベイロンを殺す
- メリサンドルは魔法を使ってジョンを生き返らせる
今回のあらすじ
- ブランはグリーンサイト(縁視力)の能力で、“喜びの塔”(Tower of Joy)の戦いを見る
- アリアの視力が戻る
- リコンはラムジーの人質となる
- ジョンは裏切り者を処刑し、ナイツ・ウォッチからの脱退を宣言する
よくわかる「背任者」の解説
“喜びの塔”の戦いについて
当エピソードのブランは、グリーンサイト(縁視力)の能力でロバートの反乱の終盤のビジョンを見る。具体的には、
- レイガー・ターガリエンがトライデント河で殺された
- “マッド・キング”(狂王=エイリス・ターガリエン2世)がキングズ・ランディングで殺された
直後の話。つまり、ターガリエン王朝が滅び、ロバートが新王となった頃の話。
ブランがみたビジョンを整理してみましょう。
- ネッドや仲間のハウランド・リードらは、“喜びの塔”(タワー・オブ・ジョイ=Tower of Joy)へ着く
- キングズガードのアーサー・デインとジェロルド・ハイタワーが、“喜びの塔”に入ろうとするネッドらを止める
- ネッドは「なぜ、トライデント河でレイガーを守らなかったのか?」とアーサー・デインに聞く
- アーサー・デインは「レイガーの命令で“喜びの塔”を守るように」と答える
- ネッドは「妹はどこだ?」とアーサー・デインに聞く
- 答えが返ってこないまま、戦いが始まる
- ネッドはアーサー・デインにやられそうになる
- しかし、後ろから忍び寄ったハウランド・リードが短刀をアーサー・デインに突き刺す
- ネッドが、アーサー・デインの剣“暁”(ドーン=Dawn)を振り、アーサー・デインにとどめをさす
- “喜びの塔”から女性の悲鳴が聞こえてくる
- ネッドが塔の中に入ろうしたところ、幻想の中のブランが「父上!」と叫ぶ
- 何かを感じたネッドは後ろを振り返るが、ブランらの姿を見ることなく、塔の階段をかけ上がる
参考
- ハウランド・リードはジョジェンとミーラの父
- トライデント河は、レイガーがロバートに殺された場所(リヴァーランドのツインズ城の近く)
- “喜びの塔”はドーンの北部(ウェスタロス大陸でいう南の方)に位置する
ここでは、
- キングズガードが戦場ではなく、“喜びの塔”にいたこと
- ブランの声は、ネッドに聞こえていた(?)こと
の2つを掘り下げていきたいと思う。
キングズガードのアーサー・デインは戦場ではなく“喜びの塔”にいた
- “暁の剣”(Sword of the Morning)と呼ばれた、七王国最高の剣士のひとり
- レイガーの友人で、キングズガードのメンバー
アーサー・デインは、キングズガードのメンバー。キングズガード(=王の盾)は、その名のとおり王族を守る盾。
彼らは王族を守らないといけないのに、その一員であるアーサー・デインは王族がいない、戦場から遠く離れた“喜びの塔”にいた。
彼はそこで一体なにを?
<字幕は言葉足りず>ブランの声は父ネッドに届いている?
ブランは、「父上!」がネッドに聞こえたと主張するが、三つ目の鴉は否定する。
いや、正確にいうと字幕版では否定する。
ここのシーン、英語のセリフを分析すると三つ目の鴉はブランを「完全に否定しているわけではない」と分かる。
ブラン:
He heard me.
声が届いた
三つ目の鴉:
Maybe. Maybe he heard the wind.
風の音を聞いたのだろう
ブラン:
He heard me.
僕の声だよ
三つ目の鴉:
The past is already written. The ink is dry.
過去を書き換えることはできん
字幕がカットされたのは下記の部分。
三つ目の鴉:
Maybe. Maybe he heard the wind.
風の音を聞いたのだろう
↑
尺の関係で、日本語字幕が省略された形となっている。本来であればこちらの方が正確な訳し方だろう。
Maybe. Maybe he heard the wind.
声が届いたのだろう もしくは 風の音を聞いたのだろう
- Maybe. = 声が届いたのだろう
- Maybe he heard the wind. = もしくは、風の音を聞いたのだろう
字幕だと、尺の関係で一つ目の「Maybe」(= 声が届いたのだろう)が省かれてしまっているが、英語のセリフを読み解くと三つ目の鴉は「ブランの声」及び「風の音」の両方の可能性を残していることが分かる。
でも、どうでしょう。風の音で、あんなに大胆に後ろを振り返るだろうか?
ネッドはブランの「父上!」を聞こえて振り返ったんじゃないでしょうか?(推測です)
アリアはハウンドを憎んでいないパート②
“顔のゲーム”(Game of Faces)に再挑戦するアリアは、ここでもハウンドを憎んでいないことが証明される。(“顔のゲーム”や「アリアはハウンドを憎んでいないパート①」の詳細はシーズン5・エピソード6「父の仇」を参照ください)
以下、赤字がウェイフに見抜かれたアリアのウソ。
ウェイフ:
昔の名は?
アリア:
アリア・スターク
ウェイフ:
アリア・スタークの家族は?
アリア:
父はエダード・スターク
母はキャトリン
サンサという姉が1人いた
4人の兄弟も
…
3人の兄弟
ロブ ブラン リコン
そして腹違いの兄 ジョン
ウェイフ:
彼らは今どこに?
アリア:
死んだかかもしれない
ウェイフ:
ハウンドの話を
アリア:
彼も死んだ
彼はリストに載っていた
…
アリアはリストから 彼の名を消していた
ウェイフ:
なぜだ 彼の死を望んでいたただろう?
アリア:
分からなくなった
ウェイフ:
迷いが生じたのか?
アリア:
ああ
そうだ
アリアは“殺しのリスト”からハウンドを外していた。シーズン5・エピソード6「父の仇」に引き続き、「アリアはハウンドを憎んでいない」という証拠である。
この事実を、2度に渡り説明する意味とは?
リコン、アンバー家に裏切られる
シーズン3・エピソード9「キャスタミアの雨」以来の登場となるリコン(とオシャ)は、ラムジーの人質となってしまう。
かなり久々の復帰なので、リコンのストーリーラインを整理しておこう。
- ブランが目指す“壁の向こう側”は危険だと判断し、リコンとオシャとシャギー・ドッグ(ダイアウルフ)は進路を変える
- スターク家の旗主、アンバー家の本拠地“ラスト・ハース”(最後の炉端城=Last Hearth)へと向かう
- しばらく、アンバー家の元でかくまってもらう
- アンバー家に裏切られ、ボルトン家に売られる←イマココ
なぜ、リコンはボルトン家に売らてしまったのでしょうか。
しかもアンバー家の長、スモールジョン・アンバーはラムジーに
- 「忠誠を誓う気はない」
- 「ひざまずく気はない」
と言うのに?
その理由は、アンバー家とボルトン家と利害関係が一致するから。
アンバー家の本拠地“ラスト・ハース”は、野人に与えられた地“ギフト”(The Gift)に最も近い北部の城。
スモールジョン・アンバーは、
- 野人
- 野人を“壁”の南側を迎え入れたジョン
の侵略を恐れ、早めに潰しおきたいと考えている。
ラムジー・ボルトンは、
- 半分スターク家の人間であるジョン
- 野人
を潰し、正真正銘の北部総督になりたい。
このように「ジョンと野人を潰しておきたい」というお互いの利害が一致する。
だからスモールジョン・アンバーは、同盟の証とし、ボルトン家にリコンを売ったのだ。
「背任者」の感想
I wish you good fortune in the wars to come.
これから来たる戦での幸運を祈る
byアーサー・デイン
はマンス・レイダがシーズン5・エピソード1「新たな戦いの幕開け」で言ったセリフと全く同じ。気づきましたか?
↑
って感想と全然関係ないですね。
衝撃的なラストを飾ったシーズン6の第1話、2話。
それに続づいて、いい意味で“中休み”となった今回のエピソード「背任者」。
テンションぶち上げのシーンもなければ、退屈~ってなる場面もなかったかな。
ジョンの復活については“不思議感”を残しつつ、いい感じで次回以降につなげていく…
「背任者」の名言
My watch is ended.
俺の務めは終わった
byジョン・スノウ
>>つぎは「エピソード4:異客の書(Book of the Stranger)」
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