この記事では海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の解説・あらすじ・感想を書いております。今回は
- シーズン1:七王国戦記
- エピソード3:冥夜の守人
をネタバレありで紹介しますので、エピソードを一度観たうえで振り返りとして当ブログを確認いただければと思います。
シーズン1:七王国戦記
- エピソード1:冬来たる(Winter Is Coming)
- エピソード2:王の道(The Kingsroad)
- エピソード3:冥夜の守人(Lord Snow)←今回はこれ
- エピソード4:壊れたものたち(Cripples, Bastards, and Broken Things)
- エピソード5:狼と獅子(The Wolf and the Lion)
- エピソード6:黄金の冠(A Golden Crown)
- エピソード7:勝つか死ぬか(You Win or You Die)
- エピソード8:進軍(The Pointy End)
- エピソード9:ベイラー大聖堂(Baelor)
- エピソード10:炎と血(Fire and Blood)
もくじ|読みたいところにジャンプ
- 1 すぐにわかる「冥夜の守人」のあらすじ
- 2 【ほぼ時系列順】よくわかる「冥夜の守人」の解説
- 2.1 “鉄の玉座”は王の席
- 2.2 「ロバートの反乱」はグレート・ホールで始まりグレート¥ホールで終わる
- 2.3 小評議会とは? なにすんの? メンバーは?
- 2.4 オールド・ナンの怖い話
- 2.5 キャトリンとリトル・フィンガーの関係
- 2.6 “ナイツ・ウォッチ”の総帥ジオー・モーモント(演:ジェームズ・コスモ)
- 2.7 使い鴉(からす)はメッセージを届ける
- 2.8 キングズ・ランディングにいる新キャラ2名と重要なキーワード
- 2.9 デナーリス改め「カリーシ」
- 2.10 ヨーレンとの出会い、そしてベンジェンとのお別れ
- 2.11 カリーシ、妊娠する?
- 2.12 メイスター・エイモン(演:ピーター・ヴォーン)とウェスタロスの季節の説明
- 2.13 アリアの指導者、シリオ・フォレル(演:ミルトス・イェロレムー)
- 3 「冥夜の守人」の感想
すぐにわかる「冥夜の守人」のあらすじ
前回のおさらい(エピソード2:「王の道」)
- 塔から落とされたブランはなんとか命を取り留めるものの、数週間昏睡状態が続く
- ジョン・スノウは“ナイツ・ウォッチ”になるために“壁”に向かう
- “王の手”に任命されたネッドは娘のサンサ、アリアを連れて王都キングズ・ランディングに向かう
- キングズ・ランディングに向かう途中、アリアとダイアウルフがトラブルを起こしてしまう
今回のあらすじ
- スターク家は王都キングズ・ランディングに到着し、ネッドは“スモール・カウンセル”に召集される
- キャトリンはブランを突き落としたとされる人物の手がかりをつかむ
- ブランは目が覚ますが、記憶を失くしており二度と歩けないことを知る
- “ナイツ・ウォッチ”の一員となったジョンはティリオンに別れを告げる
- ドスラクの女王となったデナーリスは妊娠する
【ほぼ時系列順】よくわかる「冥夜の守人」の解説
解説に入る前に、これだけ言われてくれ。エピソード名は英語だと「Lord Snow(スノウ閣下)」なのに、なぜ日本語だと「冥夜の守人」なの? 意味がいろいろ変わってくると思うんだけど…まぁいいか…
“鉄の玉座”は王の席
再会したネッドとジェイミー。二人が話し合っていた場所は“レッド・キープ”(赤の王城=Red Keep)内の“グレート・ホール”(Great Hall)。
ここには“鉄の玉座”(アイアン・スローン = Iron Throne)が置かれており、七王国の最高権力者である王が座る場所。(“王の手”が座る場合もある)
エイゴン・ターガリエン1世(物語が始まる約300年前に七王国を統治したデナーリスの祖先)が倒した名家の剣が玉座に飾られている。
ココがポイント
“鉄の玉座”は王が座る椅子なので「鉄の玉座に座る = 王になる」と同じ意味である。
「ロバートの反乱」はグレート・ホールで始まりグレート¥ホールで終わる
ものすごく緊迫した雰囲気で話すネッドとジェイミー。二人は“苦い過去”を振り返っているが、ここでのポイントは3つ。
- ネッドの父親と兄に起きた悲劇
- “マッド・キング”(狂王=Mad King)というキーワード
- “キング・スレイヤー”(王殺し=King Slayer)というキーワード
ポイント①「ロバートの反乱」はネッドの父親と兄が殺されてから始まった
一つ目はのポイント、ネッドの兄と父親について。
物語が始まる約15年前、ネッドの父親と兄はグレート・ホール(Great Hall)内で殺され、それが引き金となって「ロバートの反乱」が起きた。簡単に経緯を説明すると、
- ロバートと結婚するはずだったリアナ・スターク(ネッドの妹)が当時の王子レイガー・ターガリエンに誘拐される
- 父リカード・スタークと長男ブランドン・スタークはリアナを返してもらうよう、王のエイリス・ターガリエン2世に抗議する
- エイリス・ターガリエン2世はその場でリカードとブランドンを処刑する
- ロバートやネッドはブチギレて反乱を起こす
ポイント②“マッド・キング”ことエイリス・ターガリエン2世
二つ目のポイントは前王のエイリス・ターガリエン2世について。
上の説明で十分伝わったと思うが、前王であるエイリス・ターガリエン2世は狂っていたのだ。だから周りの人は彼のことを“マッド・キング”(狂王=Mad King)と呼ぶ。
そしてこの狂王を最終的に殺したのが、“キング・スレイヤー”(王殺し=King Slayer)と呼ばれるジェイミー。
ポイント③「王殺し」ことジェイミー・ラニスター
最後のポイントは“キング・スレイヤー”(王殺し=King Slayer)と呼ばれるジェイミーについて。
最終的にグレート・ホール内でジェイミーが“マッド・キング”を殺し、ターガリエン王朝が滅ぶことになる。そしてこれ以降、ジェイミーは“キング・スレイヤー”(王殺し=King Slayer)と呼ばれるようなる。これは喜ばしい名称ではなく、ジェイミーを軽蔑するときに使う。
「あんな狂った王、殺してよかったんじゃないの?」って思うかもしれない。たしかにそうだ。
だが、ジェイミーは当時から“キングズガード”(王の盾=Kingsguard)のメンバーでもあった。“キングズガード”は王族を守るエリート騎士集団、つまりどんなことがあってもターガリエン家を守らないといけない立場なのに、誓いを破って自らの王を殺した。
このことにより、ジェイミーは“裏切り者”というレッテルがはられ、軽蔑する意味で“キング・スレイヤー”(王殺し=King Slayer)と呼ばれているのです。
英語の勉強
slayer = 人殺し
小評議会とは? なにすんの? メンバーは?
王都キングズ・ランディングに到着したネッドはすぐに“スモール・カウンセル”(小評議会=Small Council)と呼ばれる会議に参加する。これは七王国の王政について話し合うミーティングみたいなもの。たとえば「今度の武芸競技大会、予算どうする?」や「○○家が勢力のばしてきたけど、今のうち手打っとく?」といった感じ。
“スモール・カウンセル”は、王の不在時に“王の手”が代理で指揮をとる。そして王政に興味がないロバート王はほとんど参加せず“王の手”に任せっきり。
ちなみにこのバッジが“王の手”の印。
“スモール・カウンセル”のメンバーは王によって決められる。その4人のメンツを紹介しよう。
①ヴァリス(演:コンリース・ヒル)
- 役職は諜報大臣(Master Of Whispers)
- あだ名は“スパイダー”
- “リトル・バーズ”(小鳥=Little Birds)と呼んでいるスパイ集団を束ねている
- 宦官(かんがん)
宦官ってなに?
「宦官(かんがん)= eunuch」とは、去勢された男性官僚。皇帝や后たちの身の回りを世話する人。
②ピーター・ベイリッシュ(演:エイダン・ギレン)
- 役職は大蔵大臣(Master Of Coins)
- あだ名は“リトル・フィンガー”
- 売春宿を経営している
- 情報収集力はヴァリス並み
③レンリー・バラシオン(演:ゲシン・アンソニー)
- 役職は法務大臣(Master Of Laws)
- ロバート王の末弟(三男)
④グランド・メイスター・パイセル(演:ジュリアン・グローヴァー)
- 役職はメイスター
- 4人の王を仕えてきた大ベテラン
ココがポイント
前エピソード「王の道」で紹介したメイスター・ルーウィンと同じように、アドバイザーから医者の役割まであらゆる分野を担当。グランド・メイスター(Grand Maester)であるパイセルは、メイスター界での最高ランク。
オールド・ナンの怖い話
ブランのお世話をしているオールド・ナンおばちゃんは怖い昔話をします。これは迷信とされている、ホワイト・ウォーカーのお話です。
夏のお坊ちゃんに恐怖の何がわかります?
恐怖は冬のものです 雪は深く降り積もり
夜は長く お日様は何年も顔を隠したまま
子どもたちは闇雲のなかで生まれて死ぬのです
そしてホワイト・ウォーカーが森の中を進んでいきます
大昔のこと 一世代にわたって長い夜が続きました
羊飼いがあばら屋で死ぬように 王は城で凍死
女は“飢えるよりは”と子供を殺めた
そのとき 流した涙は頬で凍りつきました
こんな話はお好みですか?
ホワイト・ウォーカーが闇雲の中 現れました
死んだ馬に乗った彼らは 国を根こそぎ荒らし
連れているのは 猟犬並みに大きな青白い蜘蛛
ココがポイント
ここで出てくる「夏のお坊ちゃん」とか「恐怖は冬のもの」とか「夜は長く」というワードはこのページの後半でまとめて説明します。
キャトリンとリトル・フィンガーの関係
秘密裏に王都キングズ・ランディングに到着したキャトリンは、リトル・フィンガーが経営する売春宿で隠れることになる。この二人は昔からの顔なじみ。どういう関係性かを簡単に説明しよう。
- リトル・フィンガーは幼い頃、リヴァーランのタリー家の養子となる(キャトリンはタリー家の娘)
- タリー家の世話をしている間にキャトリンにゾッコンになる
- しかし、キャトリンはブランドン・スターク(ネッドの兄)と婚約する
- キャトリンのことを諦めきれないリトル・フィンガーはブランドンに1対1の対戦に挑む
- ブランドン圧勝、しかしその後“マッド・キング”に処刑される
- キャトリンはブランドンの弟ネッドと結婚する
- でも未だにリトル・フィンガーはキャトリンに惚れている(?)
そういった背景があり、リトル・フィンガーはスターク家(というよりキャトリン)をサポートしているのです。
“ナイツ・ウォッチ”の総帥ジオー・モーモント(演:ジェームズ・コスモ)
“ナイツ・ウォッチ”の一員となるべくジョンは、その中心地“キャッスル・ブラック”(黒の城=Castle Black)でトレーニングを開始する。
その光景をティリオンとともに見守るのが“ナイツ・ウォッチ”の第997代“ロード・コマンダー”(総帥=Lord Commander)のジオー・モーモント。彼は“ナイツ・ウォッチ”を束ねている最高ポジション。
「モーモント? あの?」はい、そうです。ジョラー・モーモントのお父さんです。
英語の勉強
Lord Commander = 総帥
使い鴉(からす)はメッセージを届ける
ジオー・モーモントは「レイヴンが来た」といってティリオンに紙切れを渡す。
“レイヴン”(使い鴉=Raven)は手紙を届ける郵便局みたいな役割。人間より移動が速いカラスは情報伝達という重要な仕事を任されているのです。(どんだけ知能高いんだよ、って感じですが)
キングズ・ランディングにいる新キャラ2名と重要なキーワード
ワインが大好きなロバート王は飲んだくれ。このエピソードでも相変わらず酔っぱらっており、新キャラ2名が犠牲となって付きそう。
また、このシーンではこれからも度々でてくる重要なキーワードが言及される。
バリスタン・セルミー(演:イアン・マッケルヒニー)
- “マッド・キング”のときから引き続き“キングズガード”のリーダーを務める
- 剣術は世界一ともいわれている伝説の騎士
ランセル・ラニスター(演:ユージーン・サイモン)
- ロバート王の従者
- ジェイミー、サーセイ、ティリオンの従兄弟
- お父さんのケヴァン・ラニスターは今後登場する
英語の勉強
squire = 従者
火刑に処せ(Burn them all)
“マッド・キング”の最後の言葉を聞かれたジェイミーは「刺される前と変わらず、数時間も“火刑に処せ”(Burn them all)と叫んでいた」とロバート王に説明しました。
この“火刑に処せ”(Burn them all)はこれからも度々でてくる重要なセリフです。
デナーリス改め「カリーシ」
ドスラクの王カール・ドロゴの妻となったデナーリスはジョラーに向かってこんなこと言います。
「王妃じゃない カリーシよ」
Not a Queen, a Khaleesi.
カリーシ(Khaleesi)はドスラク語で女王を意味します。
ちなみに、カール(Khal)は王、カラザール(Khalasar)は部族。
ココがポイント
ドスラク語は、言語学者デイビッド・J・ピーターソンによって作られた架空の言語。
ですが、なんと大学の講義になったり、辞書までも発売されています。
ヨーレンとの出会い、そしてベンジェンとのお別れ
ティリオンは“壁”を守る中心地“キャッスル・ブラック”(黒の城=Castle Black)で新キャラのヨーレンと出会う。
また、ベンジェンは“潜り”にいくため、壁の北側へと旅立つ。
新兵募集係のヨーレン(演:フランシス・マギー)
ヨーレンは“ナイツ・ウォッチ”の新兵募集係を務める。志願者があまりにも少ないため、キングズ・ランディングなどに出かけて隊員をリクルーティングする。
ベンジェンは“潜り”にいく
“レンジャー”(哨士=ranger)であるベンジェンは壁の北側へと“潜り”にいく。“潜り”とはエピソード1「冬来たる」の冒頭シーンのように壁を越えてパトロールしにいくこと。
「ホワイト・ウォーカーの目撃情報」がでてきており、警戒心がかなり高まってきたのです。
カリーシ、妊娠する?
ドスラクの女王(カリーシ)として風格がでてきたデナーリスに体の異変が。もしかして妊娠?
前エピソード「王の道」ではロバート王はターガリエン家とドスラク人の結婚を恐れていましたね。もし同盟を結び、子どもができたら、侵略してくる可能性が…
そして懐妊のお知らせを聞いたジョラーはどこかに出かける…
メイスター・エイモン(演:ピーター・ヴォーン)とウェスタロスの季節の説明
“キャッスル・ブラック”(黒の城=Castle Black)でのメイスター・エイモンとティリオンの会話。
メイスター・エイモン:「冬はいくつ経験した?」
ティリオン:「8です いや9つかな」
メイスター・エイモン:「短い冬で?」
ティリオン:「生まれたのは3年続いた冬ですが」
メイスター・エイモン:「この夏は9年続いた そして昼は短くなっているらしい スターク家は正しいな ついに“冬来たる”だ 長い冬がやってくるぞ 闇雲と伴ってな」
ここで『ゲーム・オブ・スローンズ』の季節感を説明しておきましょう。
基本的には日本と同じように、北に行けばいくほど寒く、南に行けばいくほど温暖な気候になります。だから一番北にある“壁”はいつも雪が降ってるし、北部のウィンターフェルはいつも寒いし、それらの南にある王都キングズ・ランディングは暖かい。
しかし、日本とは違って四季という概念がない。メイスター・エイモンが言っている「冬」とは一年に一度にやってくる季節ではなく、数年に一度のこと。ティリオンが言ったように「冬」は3年づ続く場合もあるし、それ以上になることも珍しいことではない。
オールド・ナンの怖い話にでてきた「恐怖は冬のもの」や「夜は長く(Long Night)」は終わりが見えない冬の恐ろしさのことであり、ブランみたいな「夏のお坊ちゃん」たちは本当の冬を経験したことがないのです。
アリアの指導者、シリオ・フォレル(演:ミルトス・イェロレムー)
- ブレーヴォス(エッソスの自由都市)出身の剣の達人
- 「水のダンス」という独特なファイティングスタイルをアリアに教える
- 信仰する神は「死神」
「冥夜の守人」の感想
王都キングズ・ランディングや“キャッスル・ブラック”という新しい舞台に伴い、新キャラが続出してきました。ここらへんから『ゲーム・オブ・スローンズ』登場人物多すぎて複雑問題を感じてしまうかもしれません。たしかに、キャラの数は既に多いしこれからもまだまだたくさん出てきます。
ですが、『ゲーム・オブ・スローンズ』の魅力の一つはキャラの多さや複雑さだと思っています。
この時点でもう3エピソード分終わりましたが、誰が主人公かわかりましたか? 「てか主人公っているの?」って感じじゃないすか?
そういう奥深さがこのドラマの良いところ。だと思ってます。
また、女性が活躍するところも大好き。私はアリアが剣術を習うシーンあたりから、本格的に「あ、このドラマおもしろいぞ?」と思い始めましたね。
今回も0ホーダーでした…そのうち…
「冥夜の守人」の名言
Stick them with the pointy end.
「尖った方で刺す」
byアリア・スターク(ジョンに教わった言葉)
>>つぎは「エピソード4:壊れたものたち(Cripples, Bastards, and Broken Things)」
>>「ゲーム・オブ・スローンズ」各エピソードのまとめページへ行く
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