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リコン・スタークは外される予定だった?ゲーム・オブ・スローンズ内通者による製作記『Fire Cannot Kill a Dragon』で裏話が明かされる

Fire Cannot Kill A Dragon

HBO公式の「ゲーム・オブ・スローンズ」製作記『Fire Cannot Kill a Dragon: Game of Thrones and the Official Untold Story of the Epic Series.』(洋書)が10月6日に発売されます。

この本の著者は、GOTの内通者として知られるEntertainment Weeklyのジェームズ・ヒバード記者。内容はサブタイトルのとおり“公式の裏話”となっており、たとえば

  • 『氷と炎の歌』シリーズ映像化への道(D&DがGRRMをどうやって説得したのか)
  • 賛否両論に分かれた最終章の洞察
  • スピンオフ『House of the Dragon』を含む「ゲーム・オブ・スローンズ」の未来
  • 悲惨なパイロットの制作秘話

など、GOTにもっとも近い記者ならではの裏話が記されています。

 

※2020年10月6日発売(日本語訳は未定)

 

親書発売を記念して、一部抜粋されたものがEntertainment Weeklyで公開されました。チラ見できる内容は「悲惨なパイロット版」についてで、キャストや制作スタッフへのインタビューが載っています。

以下、公開された内容で気になったところを「引用+ざっくり翻訳」で紹介しています。

 

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何をやってるのか分からない悲惨なパイロット

そもそも「悲惨なパイロット」とは、一般視聴者がみることができない(結局公開されることはなかった)幻の第1話。

  • デナーリス役はエミリア・クラークではなくタムジン・マーチャント
  • デナーリスがカール・ドロゴに嫁ぐシーンでは、ジョージ・R・R・マーティンがペントス人の貴族としてカメオ出演
  • キャトリン役はミシェル・フェアリーではなくジェニファー・イーリー
  • ウィンターフェルの宴でジョンがべろんべろんに酔っぱらう

など、我々が知っている第1話「冬来たる」あるいはGOTとはかけ離れた作品でした。

 

肝心の中身は悲惨だったようです。

ジェイミーを演じたニコライ・コスター=ワルドーいわく「皆が何をやっているのか分からなかった」とのこと。

NIKOLAJ COSTER-WALDAU (Jaime Lannister):

Nobody knew what they were doing or what the hell this was. During King Robert’s arrival I remember finding the whole thing ridiculous.

Entertainment Weeklyより引用

ざっくり翻訳

  • 皆が何をやっているのか分からなかった
  • ロバート王が(ウィンターフェルに)到着したときは、すべてが馬鹿らしく思えた

 

 

そのロバート王を演じたマーク・アディは、演出の甘さを指摘しています。

MARK ADDY (Robert Baratheon):

In the Winterfell courtyard scene, nobody kneeled when the king arrived in the first pilot.

In the reshoot, everybody kneeled. It made a huge difference in terms of establishing who’s in charge.

Entertainment Weeklyより引用

ざっくり翻訳

(王家が)ウィンターフェルに入城するシーンでは、誰も跪かなかった

再撮影では全員が跪き、上下関係を表すことで大きな違いが生まれた

 

 

また、原作小説の著者ジョージ・R・R・マーティンも致命的なミスをあげています。

GEORGE R. R. MARTIN: 

Some didn’t know Jaime and Cersei were brother and sister.

Entertainment Weeklyより引用

ざっくり翻訳

ジェイミーとサーセイが兄弟だと分からない人もいた

 

 

結局はじめて撮ったパイロットは放送されることなくお蔵入り。(あまりにも悪い出来だったのでHBO幹部からストップがかかってしまいました)

俳優、制作スタッフ、脚本などを一新して、最初から撮りなおしたバージョンが我々が知ってる「冬来たる」です。

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リコン・スタークは外される予定だった?!

Entertainment Weeklyの記事では、他にも興味深いネタが公開されています。

 

LENA HEADEY (Cersei Lannister):

I looked like a Vegas showgirl in the [original] pilot — furs and massive hair, like a medieval Dolly Parton.

Entertainment Weeklyより引用

ざっくり翻訳

私はラスベガスのショーガールみたいな恰好をしていた。まるで中世版ドリー・パートンのように毛皮に巨大な頭をしていた。

―レナ・ヘディ(サーセイ・ラニスター役)

 

 

CHRISTOPHER NEWMAN (producer):

Joffrey had a different haircut. In the original pilot, it was more pageboy cut, slightly pudding bowl-ish, like Henry V.

Entertainment Weeklyより引用

ざっくり翻訳

ジョフリーは別の髪型をしていた。最初に撮ったパイロットでは、ヘンリー5世のようにページボーイ風の髪型だった。

―クリストファー・ニューマン(プロデューサー)

 

 

そして何よりビックリしたのが...

しかしたらリコン・スタークは存在していなかったこと!

 

GEORGE R. R. MARTIN: 

The biggest thing was Dan and David called me up and had the idea of eliminating Rickon, the youngest of the Stark children, because he didn’t do much in the first book. I said I had important plans for him, so they kept him. 

Entertainment Weeklyより引用

ざっくり翻訳

  • D&Dは私に、スターク家の末っ子のリコンを排除するアイデアをもちかけた
  • その理由は、最初の本で大した活躍をしないから
  • しかし、リコンはのちのち重要な役割があると私から説明した結果、残すことになった

―ジョージ・R・R・マーティン

 

 

これは驚きですね。ジグザグに走らないどころか、そもそも走っていなかった可能性があったとは!

 

 

最後にすこしだけ考察(予想)ですが、、

ジョージ・R・R・マーティンが言う「のちのちリコンは重要な役割がある」は、結局TVシリーズでは実現されなかったと考えています。

というのも原作小説では、リコンは北部での戦いにおいて超キーパーソンになるはずなので...

 

TVシリーズ及び原作小説のリコンの動き

  1. 裏切りのシオンがウィンターフェルを奪取する
  2. リコンやブラン(ホーダー、リード家)は隙をみて逃げる
  3. 世間一般では、リコンとブランはシオンによって殺されたと思われている(実際は農家の少年2人)
  4. ボルトン家がウィンターフェルを占拠する

ここまではTVシリーズと原作小説はおおよそ同じ流れですが、原作小説の方ではリコンはまだ生きている+ラムジーに捕まっていません。

 

原作小説のみにおけるリコンの動き

5. ワイマン・マンダリー(北部で有力な人物)はリコン生存を知っている
6. その情報を入手したダヴォスはリコンがいるとされるスカゴス島(北部の島)へと向かう

※リコンは実際に登場していないから本当にスカゴス島にいるかは不明

 

原作小説では、落とし子の戦いどころか、ボルトン vs スタニス もまだ実現していません。(ちなみに ボルトン vs スタニス はTVシリーズと全く異なる戦いになるでしょう)

打倒ボルトンを試みるスタニスにとって、スターク家の名前(しかも男性)をもつリコンは超重要人物。

なぜなら、リコン生存の証明+味方にできれば、北部で力をもつ多くの名家がスタニス側に加勢してくれるわけで...

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HBO公式の「ゲーム・オブ・スローンズ」製作記『Fire Cannot Kill a Dragon: Game of Thrones and the Official Untold Story of the Epic Series.』で他にも興味深いネタがあったら紹介します~

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