注意
- この記事には『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン2より先のストーリー、原作『炎と血』のあらすじなどのネタバレが含まれています。
- また、筆者の意見や予想も述べていますので『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン3以降の展開を知りたくない方は読まないでください。
シーズン2が終了したばかりのHBOドラマ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』。『ゲーム・オブ・スローンズ』の約150年前を描く物語が原作『炎と血』から逸脱し、重要なシーンを変更したことに対して、原作者ジョージ・R・R・マーティンが自身のブログを通してドラマの制作スタッフを批判。
また、マーティンがブログで鬱憤を晴らした30分後に…記事そのものを削除。さらにはHBOが制作スタッフを擁護するような声明文を出したことによりちょっとしたスキャンダルへと発展しました。(とはいえ、一度ネットにアップしたものは一瞬で保存、拡散されるので記事全文はSNSなどで残ってるんですけどね…)
ざっくりとした事の経緯
マーティンが自身のブログで「シーズン2いいね、でもイマイチのところもあるから今度説明するぞ!」と7月と8月に宣言
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(おそらく第1弾として)ブログにてドラマの問題点を指摘し、その際ショーランナーのライアン・コンダルを名指しで「なんでこんなことをしたのか意味不明なんだけど…」と軽くディスる
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ブログをアップしてから30分後に削除する
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HBOが声明を出してライアン・コンダルを擁護する
「原作を映像化する場合、ショーランナーは最終的に、視聴者が追いかけるキャラクターとストーリーについて難しい選択を迫られる。我々は、ライアン・コンダルと彼のチームが並外れた仕事をし、このシリーズが最初の2シーズンで集めた何百万人ものファンがこれからもこの作品を楽しんでくれると信じている。」
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イマココ
An HBO spokesperson has responded to George R.R. Martin’s complaints about #HouseoftheDragon Season 2 changes from his original work.
“There are few greater fans of George R.R. Martin and his book Fire & Blood than the creative team on House of the Dragon, both in production and… pic.twitter.com/5Ps9qaVI6K
— Variety (@Variety) September 4, 2024
マーティンがブログを削除せず、HBOが声明を出さなかったら1週間後には全員忘れているような内容だったはず…でもお互いが注目を浴びるような行動をしたがために、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』や『ゲーム・オブ・スローンズ』、原作ファンがざわつくような事態に発展しました。
それから5日経った現時点で、なぜマーティンがブログを削除したのかは明らかになっていません。言いすぎたと思って自ら削除したのか、今後の展開のネタバレが含まれているからHBOから削除するように指示をされたのか、それとも別の理由があるのか…?我々は二度と"本当の答え"を知ることはないかもしれませんが、ひとつ言えることはマーティン先生…どした???
【ネタバレあり】ジョージ・R・R・マーティンが削除したブログ記事の要約
問題のブログ記事はかなり長いので全部を訳さず、重要なところだけをピックアップして箇条書きでまとめました(削除されてしまったブログ記事のアーカイブはこちらで見れます)。
ちなみにマーティンはネタバレあり!と注意喚起しています。それは原作のことと思いきや、ドラマのシーズン3の展開(まだ下書きの状態とはいえ)についても普通にポロっちゃっています😇
- EP1「息子には息子を」の血狂いとチーズのシーン=あるいはジェヘアリーズ王子の死=あるいはへレイナの選択には問題がある
- 原作ではへレイナには3人の子供(長男ジェヘアリーズ、長女ジェヘイラ、次男メイラー)がいるが、TVドラマではメイラーがカットされている
- 2022年にショーランナーのライアン・コンダルからTVドラマにおけるメイラーにの使い方を聞いたとき私は反対した
- しかし、幼児をキャスティングする難しさなどカットすべき理由は理解できるし、カットするのではなく誕生を遅らせるだけと聞いたので私は受け入れた
- 原作のメイラーはわずか2歳児の子供だが、彼の存在は大きく"バタフライ効果"のような影響力があるからカットするなんてマジであり得ない
- レイニラが王都を占領した後、子どもたちの安全を心配したアリセントが密かにジェヘイラをストームズエンドに、メイラーをリーチへと逃す
- 王の盾のリカード・ソーンがメイラーを護衛する役目を務めるが、彼の任務は失敗に終わり、メイラーは亡くなってしまう
- 特大イベントではないが非常に大事なシーンである、けどTVドラマにはメイラーがいないからこれが実現されないであろう
- ①リカード・ソーンがメイラーではなくジェヘイラを守もらせることもできるが、ジェヘイラは殺せないので成り立たない(※ジェヘイラはエイゴン三世と結婚することになるから)
- ②シーズン3からメイラーを新生児として登場させることもできるかもしれないが、タイムライン的に無理がある
- ライアン・コンダルが何を考えてるか分からない、てかちゃんとした計画はあるのか?
- そして"バタフライ効果"はまだ続く、原作ではメイラーの死のニュースがへレイナまで届くと、彼女はショックのあまり自ら命を断つ(※『炎と血』には複数の説があるがここでへレイナの死に方を断定する)
- ライアン・コンダルによるシーズン3の下書きでは、へレイナは特に理由もなく自殺する…新鮮な恐怖も、か弱い若い女王を圧倒するような引き金となる出来事もない
- "バタフライ効果"はその後にすぐ続く
- へレイナは王都の庶民から愛されているが、一方でレイニラはそうでもなかった
- そのため、へレイナが自殺したのではなく、レイニラの命令で殺害されたという噂が立つと、庶民はすぐにそれを信じてしまう
- それがレイニラの治世の終わりの始まりである
- 王都で暴動が起き、レイニラは逃げるしかなくなり、やがて彼女の死へとつながる
- メイラーは小さな子供でセリフもなく、死ぬ以外に何もしない...しかし、いつ、どこで、どのように、が重要なんだ
- メイラーをカットしたことで、血狂いとチーズのシーンの結末が弱くなっただけではなく、リカード・ソーンの恐怖とヒロイズムが失われ、へレイナの自殺の動機や、その結果、何千人もの人々が"殺された"女王のために正義を叫び街に繰り出すことになるシーンが損なわれた
- この一連の流れには意味があり、ストーリーを結びつける
- もしHOTDがシーズン3、4に向けて検討されているいくつかの変更に踏み切れば、より大きく、より有害なバタフライがやってくるだろう…
EP1「息子には息子を」のラストシーンで起こる「血狂いとチーズ」の原作バージョンについては下の動画で説明しています。
マーティンがブログを削除したのは計画通りだったのか?
マーティンが批判している『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の問題点や作者自身の行動について3点ほど言わせてください。
①マーティンはHBOと包括契約を結んでいるうえ、1980年代からTV業界と携わってきたこともあり、ブログ記事の内容や削除するという行為が問題にならない訳がないと分かっていたはずです。にも関わらず自らスキャンダルを起こしにいったようなものなので、ブログを消すことは最初からすべて計算だったのか…?と思えてしまいます。
もしかしたら、シーズン3や4のストーリーの方向性を聞き、それがあまりにも自分の考えからかけ離れていたため今のうち小さめの爆弾を放ち、HBOや制作スタッフ、脚本家たちへ「軌道修正してくれ!」というメッセージを送ったんでしょうか?自分の意見を言い続けてもHBO側や制作スタッフが一切聞いてくれないので、少々荒い方法で自分を入れた本気のミーティングが行われるように仕向けたとか?(プロ意識にかけるけど😇)
なぜブログ記事を削除したのかは分かっていませんが、基本的にはシーズン3以降のネタバレが含まれていたからだと予想します。
「ここからは原作で起こる展開のネタバレをします〜」と宣言したうえで原作のストーリーや作者自身の解釈を説明していますが、原作の展開=ドラマのネタバレになるかもしれないし、もっと言うと「ライアン・コンダルが執筆した下書きの脚本ではシーズン3でへレイナが命を落とす」と普通に暴露しちゃっています。なのでHBOと結んでいる秘密保持契約的にアウトで、HBO側から削除するように言われたんじゃないかと。
②問題として取り上げているメイラー王子、正直どうでもいいというかそれを言うなら他に指摘するところがたくさんあるのでは…?デイモンのビジョンとか、ヘレイナが今後の展開を平気でネタバレしてしまうとことか、ドラゴンライダーになるための条件のヒントが隠されてるイラクサ(Nettles)がカットされるであろうこととか。
③そもそも『炎と血』はハッキリとした答えがない、いろんな見解が散りばめれてる歴史書風の本のはずです。だからなぜへレイナが自ら命を絶ったのかは複数の憶測があり、まるで"本物"の歴史書のようにミステリーが残されており、読者には真実が分からないようになっています。
へレイナが自害した理由としては例えば、
- レイニラに捕えられた後、売春婦として働かされたへレイナが妊娠してしまったため
- レイニラが黒装派の騎士2人を処刑したを見たへレイナが恐怖に怯えたため
- ミサリアがへレイナに、メイラーの行方と死を伝えたため
- (へレイナは自殺ではなく、レイニラや黒装派によって殺害されたという説もある)
のいずれか、と複数の説が原作に記されているなかで、マーティン自らがちゃんとした答えを出すのはどうなの?🤔って感じてしまいます。原作を読んでいる皆さんはどう思いますか?
YouTubeチャンネル「心はウェスタロス」では『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン2初映像を考察・解説しています。
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