映画ファンのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。
いや、もう少し具体的な質問をすると、
- 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
- 『ムーラン』
- 『ブラック・ウィドウ』
- 『クワイエット・プレイス PARTII』
- 『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』
などが公開延期となってしまいましたが、映画ファンのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。
2020年は、、、とても辛いですね。コロナめ...
そんな中、「頼むからこれだけは延期しないでくれ!」と切に願う新作映画があります。
その名は『デューン』
この記事では、わたしが2020年でもっとも期待している新作映画(と言っても日本公開日はもともと未定だが)の『デューン(原題:Dune)』について語っていきます。具体的には、
- 米Vanity Fairで公開された写真でキャスト紹介
- 『デューン』のあらすじ
- 1984年公開のデヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』がなぜ駄作なのか
- その反省点を活かした2020年リブート版『デューン』は2部作となる、さらにテレビシリーズ化も決定
などについて書いています。
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ティモシー・シャラメ×ゼンデイヤ×ドゥニ・ヴィルヌーヴ!最強メンツで挑むリブート版『デューン』
- 以下の画像は、米Vanity Fairから引用しています
- 写真提供:Chiabella James
この記事を書いている2020年4月時点では、『デューン(原題:Dune)』の特報や予告編などの映像は一切公開されていません。それどころか、公式あらすじも発表されていません。
それでもなぜ、2020年でもっとも期待すべき作品が『デューン』と断言できるのか。それは...
- ティモシー・シャラメ
- ゼンデイヤ
- レベッカ・ファーガソン
- オスカー・アイザック
- ジョシュ・ブローリン
- ステラン・スカルスガルド
- デイヴ・バウティスタ
- ジェイソン・モモア
- ハビエル・バルデム
- シャロン・ダンカン・ブルースター
- デヴィッド・ダストマルチャン
- スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン
- シャーロット・ランプリング
からの、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。
このメンツを見ただけで、『デューン(原題:Dune)がどれほどビッグな映画か、わかってくれますよね?
若手からベテランまで、いまハリウッドでもっともイケてる豪華キャスト陣。2010年代で、確固たる地位を築き上げた鬼才天才ドゥニ・ヴィルヌーヴ。これはとんでもない映画になりますぜよ…
主人公ポール・アトレイデスを演じるのは、若手No.1俳優のひとりティモシー・シャラメ
ポール・アトレイデス(演:ティモシー・シャラメ)とその母親役のレディ・ジェシカ(演:レベッカ・ファーガソン)
レディ・ジェシカ(演:レベッカ・ファーガソン)
代表作
ポールの父レト・アトレイデス公爵(演:オスカー・アイザック)
公爵家の副官ガーニイ・ハレック(演:ジョシュ・ブローリン)
公爵家の副官ダンカン・アイダホ(演:ジェイソン・モモア)
代表作
ジェイソン・モモアは『アクアマン』やテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られる俳優です。(モモアさんの髭ほしかった…)
砂漠の民フレーメンのチャニ(演:ゼンデイヤ)
写真右:フレーメン族のリーダーであるスティルガー(演:ハビエル・バルデム)
写真左:映画監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ
代表作
帝国惑星学者のリエト・カインズ博士(演:シャロン・ダンカン・ブルースター)
豊かな海洋を持つ惑星カラダンを統治するアトレイデス家。左(3番手)から
- ポール・アトレイデス(演:ティモシー・シャラメ)
- スフィル・ハワト(演:スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン)
- レト・アトレイデス公爵(演:オスカー・アイザック)
- レディ・ジェシカ(演:レベッカ・ファーガソン)
- ガーニイ・ハレック(演:ジョシュ・ブローリン)
- ダンカン・アイダホ(演:ジェイソン・モモア)
もうおなか一杯ですが...
さらにさらに鬼才 天才 巨匠
ドゥニ・ヴィルヌーヴが本作の監督を務めています。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品
芸術&娯楽を両立しながら21世紀のSFを表現できることは『メッセージ』で証明済み。
同じくSFジャンルでいうと、『ブレードランナー 2049』では、数十年ぶりに作品を蘇らせています。出来のほうは、お見事としか言いようがなく、個人的にはオールタイムTOP3に入る作品。
リブート版『デューン』の予告編をみなくても、この最強メンツを眺めるだけで、いかにヤバイ映画かおわかりいただけただろうか。
あ、そうそう。さきほどチラホラ言っていますが、本作はリブート版になります。
つきましては以下より1984年公開の『デューン』がなぜダメな映画だったのか、その問題点はリブート版で改善できるのか、について意見を述べていきます。
2020年リブート版『デューン』がつくる新たな時代に期待!映画は2部作構成、さらにはスピンオフドラマも制作決定
ここからは、
- 『デューン』の基本情報(あらすじ、小説シリーズ)
- デヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』
- ドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』
にすこし触れながら、2020年公開予定リブート版『デューン』に期待できることについて書いています。
まるで“ダイジェスト版”、デヴィッド・リンチによる『デューン/砂の惑星』はマジで駄作だった…
『デューン』は、アメリカの作家フランク・ハーバートによるSF小説シリーズ。
小説シリーズ
- 『デューン/砂の惑星』("Dune":1965年)
- 『デューン/砂漠の救世主』("Dune Messiah":1969年)
- 『デューン/砂丘の子供たち』("Children of Dune":1976年)
- 『デューン/砂漠の神皇帝』("God Emperor of Dune":1981年)
- 『デューン/砂漠の異端者』("Heretics of Dune":1984年)
- 『デューン/砂丘の大聖堂』("Chapterhouse : Dune":1985年)
※その後フランク・ハーバートの息子ブライアン・ハーバートと、ケヴィン・J・アンダーソンが続編を数冊執筆。
このSFシリーズは1984年、デヴィッド・リンチ監督によって『デューン/砂の惑星』として映像化されたものの、
駄作としか言いようがない出来となってしまいました。(ちなみにデヴィッド・リンチ本人も、“失敗作”として認めています)
『デューン/砂の惑星』はアクションシーンがとにかくダサかったり、“心の声”で語るというナゾの演出があったり、いろいろと問題がある映画です。
アクションシーンはまじでダサい…(一目見たらわかると思います)
なかでも特別にダメだったのは、
- キャラ、種族、専門用語が多すぎて「ん?この人誰だっけ?これなんだっけ?」と混乱してしまう
- 展開が早すぎて「ん?いつの間にこうなったんだっけ?あの人はどこ行ったんだっけ?」とやはり混乱してしまう
小説を読んでいないと理解できない設定が多すぎるし(一つひとつ説明する必要はもちろんないけれど)、まるでダイジェスト版をみている気持ちです。
ダンカンいるの?いないの?
なんなの、ナビゲーターって?
カインズ博士?あれ、いつの間に?
つまり、『デューン/砂の惑星』が駄作として評価されるようになった最大の理由は、
ココがダメ
たった2時間ちょっとの映画に詰め込めようとした
ことです。
それを裏付けるように、ドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』のなかで、映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーは「『デューン』を映像化するにあたり、12~20時間は必要」と証言しています。
補足
『ホドロフスキーのDUNE』(2013年)は、“映画史上最も有名な実現しなかった映画”を追ったドキュメンタリー。
1975年に監督アレハンドロ・ホドロフスキーが『DUNE』の映画化を企画、世界トップクラスのスタッフ・キャストを集めながらも、資金面などを理由にプロジェクト中止となってしまう様子が描かれる。(その後、映画プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスが権利を買い取り、デヴィッド・リンチが監督・脚本となって制作されたのが1984年公開の『デューン/砂の惑星』)
『スター・ウォーズ』『エイリアン』『ブレード・ランナー』『マトリックス』など歴史に残るSF大作映画が、“実現しなかったDUNE”の絵コンテやコンセプトアートから大きな影響をうけていることが、このドキュメンタリー作品で分かる。
政治、宗教、生態学に精神性。奥が深い『デューン』は1本の映画では伝えきれない
『デューン』のあらすじを簡単に説明すると、
ざっくりあらすじ
- 砂漠の惑星アラキス(通称“デューン”)にしか産出されない貴重なスパイスである“メランジ”が発掘される
- “メランジ”にはすごいパワーが秘めているので、“メランジ”の支配=宇宙を支配することになる
- 貴族同士が惑星アラキス(通称“デューン”)の統治、すなわち“メランジ”をめぐって争う
こうみると一件シンプルな設定のように思えますが…
リブート版の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴは『デューン』をとてつもなく複雑な物語として捉えています。
“It was a distant portrait of the reality of the oil and the capitalism and the exploitation—the overexploitation—of Earth. Today, things are just worse. It’s a coming-of-age story, but also a call for action for the youth.”
“It’s a book that tackles politics, religion, ecology, spirituality—and with a lot of characters,”
“I think that’s why it’s so difficult. Honestly, it’s by far the most difficult thing I’ve done in my life.”
ざっくり翻訳
『デューン』は地球における石油や資本主義、過剰開発の現実を比喩的に描いたものだ。現在の状況は当時よりも悪化している。これは成長の物語であり、若者に行動を呼びかける物語でもある。
この物語は政治、宗教、生態学、精神性に取り組んだもので、多数のキャラクターが登場する。
だからすごく難しい。今まで手掛けた作品のなかで、ずば抜けて難しい。
『デューン』は通常の映画の尺、それも一本分では到底説明できないほど、スケールがデカすぎるのです。
それを理解しているドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だからこそ、2部作を条件に『デューン』制作をワーナー・ブラザース側に提示しました。
ドゥニ・ヴィルヌーヴによるリブート版『デューン』の条件は「2部作」
デヴィッド・リンチ版あるいは“駄作版”の反省点を活かし、2020年に公開を予定しているリブート版『デューン』は最初から2部作として企画、構成されてきました。
米Vanity Fairのインタビューのなかで、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は以下のように説明しています。
“I would not agree to make this adaptation of the book with one single movie,”
“The world is too complex. It’s a world that takes its power in details.”
ざっくり翻訳
原作を1本の映画にするなら引き受けていなかった。
この物語の世界は複雑すぎる。その細部にこそ力が宿っている。
まるでダイジェスト版となってしまった1984年公開『デューン/砂の惑星』とは違い、リブート版『デューン』は物語の本質を追求するような映画を期待できそうです。
スピンオフドラマで『デューン』の世界を拡張
さらに!
『デューン』ワールドは、2本の映画だけでは終わりません。
なんと、スピンオフとなるテレビドラマ「デューン/ザ・シスターフッド(原題:Dune: The Sisterhood)」の制作も決定しています。
また、ドラマは映画との世界観を共有し、ドゥニ・ヴィルヌーヴは製作総指揮、さらには第1話を監督する予定です。
スピンオフドラマでは、女性ばかりで構成されている力強い結社“ベネ・ゲセリット”の物語が描かれます。“ベネ・ゲセリット”とは、1984年公開の『デューン/砂の惑星』でいうと、この人たちですね。
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