音声は英語、字幕は日本語の映画を見ていて、
「あれ?今のセリフやたらと長かったけど、日本語だと短かすぎじゃない??」
「字幕合ってるのかな?翻訳者手抜いてない??」
と感じたことはございませんか?
実は、字幕翻訳者が明確なルールのもとにセリフを字幕で表現しているのです。
日本語字幕と英語の意味が必ずしも一致しない理由と字幕のつけ方を以下にまとめました。
この記事のもくじ
文字数制限のルール
字幕の場合は文字数が多すぎると、映像を見る余裕がなくなってしまいます。
そのため、1秒につき4文字以内の日本語で表現するというルールがございます。
例えば、2秒の尺なら字幕は8文字以内、3秒なら12文字以内で表現しなけれなりません。
また、一度に画面に表示できる行数は最大で2段 、
1行の文字数は最大で12文字 という決まりもあります。
つまり、尺を考えつつ、一度に画面に表示できる文字数を
12文字×2段=24文字 以内にまとめなければなりません。
映画「スクール・オブ・ロック」より
Dewey : Okay, well when you cut my check, just make it payable to Dewey Finn, for tax reasons.
デューイ : 「小切手なら宛名は
デューイ・フィンで」
本来であれば、
「税金対策の関係で小切手なら宛名はデューイ・フィンでお願いします。」
という字幕を表示させたいところだが、こちらのセリフは3秒の尺なので
12文字以内で表さないといけない。
そのため、
for tax reasons = 税金対策の関係で
と
お願いします。
が日本語字幕から省かれている。
このように、文字数制限により言葉を省いたり、ニュアンスを変えているのです。
また、「小切手なら宛名はデューイ・フィンで」は17文字あるので、
小切手なら宛名は (8文字)
デューイ・フィンで (9文字)
のように、改行をして2行に分けているのです。
その他のルール
- ストーリーの流れを重視すること
- 文化や流行りの違いを考慮すること
- 会話、独り言、ナレーション等による文体の違いを考慮すること
- 背景、会話の流れ、発言をしている人間性や口調を考慮すること
- 年齢に関係なく、理解できる言葉遣いを考慮すること
まとめ
以上のルールから、字幕翻訳者はセリフを簡潔でわかりやすく、
極力少ない文字数で表現をしているのです。
映画は小説(文章)と違って、映像や音を楽しむもの。
字幕ではなく映像に集中できるよう、シンプルで短い文章にまとまっているのです。
映画を楽しみながら、字幕と自分なりに考えている訳を比べてみたら
おもしろい英語学習になると思います。