- この記事はこんな方のために書いています
⇒NBAレギュラーシーズン、プレーオフの仕組みを理解している人 - この記事では以下を説明しています
⇒NBAが2021年から検討している4つの新制度
いや~NBA2019年シーズンも相変わらずおもしろいですね。特に若手の活躍がすごい。
二十歳のドンチッチはあり得ないスタッツを記録するし、トレイ・ヤングはカリーを彷彿とさせるし、シアカムの成長スピードは桜木花道を超えていますよね。
しかし今回の記事は選手やチームではなく、NBAが試みてる4つの改革について書いています。具体的には、2021年シーズンから変更されるかもしれない、
- プレーオフのカンファレンス・ファイナル(ベスト4)以降の組み合わせの変更
- 各カンファレンス7位~10位でプレーオフの2つの座を争う新制度の導入
- レギュラーシーズンの試合数を82⇒78に削減
- レギュラーシーズン途中にトーナメント形式のカップ戦の導入
の仕組みと目的を解説しています。
※あくまでも変更されるかもしれない(検討中で決定ではない)情報として捉えてください。
この記事のもくじ
NBAが4つの新ルールを検討、導入は早くて2021年~
それでは、2021年シーズン以降から導入されるかもしれない4つの新ルールを説明していきます。
新ルールその①
- 変更⇒プレーオフのカンファレンス・ファイナル(ベスト4)以降の組み合わせを変更する
- 目的⇒もっとも強い2チームをファイナルで対戦させること
新ルールその②
- 変更⇒各カンファレンス7位~10位でプレーオフの2つの座を争う
- 目的⇒シーズン終盤の“タンキング”の防止
新ルールその③
- 変更⇒レギュラーシーズンの試合数を82⇒78に削減する
- 目的⇒“ロード・マネジメント”をなくすこと
新ルールその④
- 変更⇒レギュラーシーズン途中にトーナメント形式のカップ戦を導入する
- 目的⇒“ロード・マネジメント”をなくしつつ、レギュラーシーズン途中を盛り上げること
①カンファレンス・ファイナルの組み合わせの変更
- 変更⇒プレーオフのカンファレンス・ファイナル(ベスト4)以降の組み合わせを変更する
- 目的⇒もっとも強い2チームをファイナルで対戦させること
変更される組み合わせは、あくまでもカンファレンス・ファイナル(ベスト4)以降の対戦相手です。
ポイント
- プレーオフに参加できるチーム数は現状から変えず、各カンファレンスから8チームずつ出場する
- カンファレンス・ファイナル(ベスト4)になった時点で、レギュラーシーズンの成績にもとづいて組み合わせを決める
- NBAファイナルで対戦する2チームは「ウェスト vs ウェスト」あるいは「イースト vs イースト」もあり得る
2017-18シーズンを例にとってみましょう。下記がトーナメント表と結果です。(チームの左の数字がカンファレンスの順位、右の数字がラウンドの勝利数)
イースタン・カンファレンス・ファイナル
- イースト2位(55勝27敗):ボストン・セルティックス
- イースト4位(50勝32敗):クリーブランド・キャバリアーズ
- 結果:4勝3敗でクリーブランド・キャバリアーズがNBAファイナルに進出
ウェスタン・カンファレンス・ファイナル
- ウェスト1位(65勝17敗):ヒューストン・ロケッツ
- ウェスト2位(58勝24敗):ゴールデンステイト・ウォリアーズ
- 結果:4勝3敗でゴールデンステイト・ウォリアーズがNBAファイナルに進出
NBAファイナル
- イースト4位(50勝32敗):クリーブランド・キャバリアーズ
- ウェスト2位(58勝24敗):ゴールデンステイト・ウォリアーズ
- 結果:4勝0敗でゴールデンステイト・ウォリアーズが優勝
NBAファイナルは、イーストを勝ち上がったキャバリアーズ vs ウェストを勝ち上がったウォリアーズ。結果、4勝0敗のスイープでウォリアーズの圧勝で終わりました。
ウォリアーズがプレーオフでもっとも苦戦したのはキャバリアーズではなくロケッツ。7戦(4勝3敗)までもつれ込む“いい勝負”で、“事実上の決勝戦”と言われていました。
そのとおり、NBAファイナルは4勝0敗で終わり、力の差は圧倒的。昨今話題となっているウェスト強すぎる(イースト弱すぎる)問題をモロにうけた決勝戦となってしまいました。
そこで新制度を導入したとしましょう。つまり、「カンファレンス・ファイナル(ベスト4)になった時点で、レギュラーシーズンの成績にもとづいて組み合わせを決める制度」を導入した場合です。
カンファレンス・ファイナル(1位シードvs4位シード)
- <1位シード>レギュラーシーズン全体1位(65勝17敗):ヒューストン・ロケッツ
- <4位シード>レギュラーシーズン全体6位(50勝32敗):クリーブランド・キャバリアーズ
カンファレンス・ファイナル(2位シードvs3位シード)
- <2位シード>レギュラーシーズン全体3位(58勝24敗):ゴールデンステイト・ウォリアーズ
- <3位シード>レギュラーシーズン全体4位(55勝27敗):ボストン・セルティックス
NBAファイナル(上位シードが順当に勝ちあがった場合)
- <1位シード>レギュラーシーズン全体1位(65勝17敗):ヒューストン・ロケッツ
- <2位シード>レギュラーシーズン全体3位(58勝24敗):ゴールデンステイト・ウォリアーズ
このように新制度を導入した場合、NBAファイナルの対戦相手はウェスト vs ウェストもあり得るわけです。
たとえば今年2019-20年シーズン。強豪のレイカーズ vs クリッパーズのLA対決がファイナルでみれる、なんてことも?!
②プレーオフ最後の2シードの座を争う入れ替え戦の導入
- 変更⇒各カンファレンス7位~10位でプレーオフの2つの座を争う
- 目的⇒シーズン終盤の“タンキング”の防止
レギュラーシーズン終了後に、各カンファレンスの7位・8位・9位・10位のチームがプレーオフに進出できる最後の2つの座を争うことになります。
- <1試合目>:7位(ホーム) vs 8位(アウェー)が対戦⇒勝チームはプレーオフ7位シード確定、負チームは<2試合目>の勝チームと対戦
- <2試合目>:9位(ホーム) vs 10位(アウェー)が対戦⇒勝チームは<1試合目>の負チームと対戦、負チームはシーズン終了
- <3試合目>:<1試合目>の負チーム vs <2試合目>の勝チームが対戦⇒勝チームはプレーオフ8位シード、負チームはシーズン終了
- 7位と8位のチームは最低でも1勝すればプレーオフ進出(チャンスは2回ある、ホームでの試合も確定)
- 9位と10位のチームがプレーオフ進出するためには2連勝が必要(10位はアウェーで2連勝)
この制度を導入する狙いは、シーズン終盤のタンギングの防止でしょう。レギュラーシーズン10位のチームでもプレーオフ進出の可能性が残されているわけなので、わざと負けて順位を落とすことを防げる、かも?
タンキングとは?
ウェイバー方式を採用しているNBAドラフトは、前シーズンに成績の悪かったチーム順に、高指名権を獲得しやすい。(あくまでも確率が高くなるだけ)また、1巡目1位~3位指名権までは前シーズンにプレーオフに進出できなかった14チームによる抽選で指名順位が確定される。そのため、プレーオフ進出の見込みが薄いチームは「わざと試合に負けて成績を落とす = 翌ドラフトの指名順位をあげる」傾向に走る。このわざと試合に負けることをタンキングという。もちろん、わざと負ける行為は許されていない。しかし、「わざと」の見極めが難しい。
③レギュラーシーズンの試合数の削減
- 変更⇒レギュラーシーズンの試合数を82⇒78に削減する
- 目的⇒“ロード・マネジメント”をなくすこと
試合数の削減や、つぎに説明するカップ戦の導入に共通する目的は、“ロード・マネジメント”をなくすことでしょう。
ロード・マネジメントとは?
ロード・マネジメントとは、疲労を管理しながらレギュラーシーズンを進めること。本当はケガしてないのに休息をとるために欠場をしているクリッパーズのレナードが分かりやすい例。(とはいえ、ケガのレベルは判断しにくい)
このロード・マネジメント現象がおこってしまうもっとも大きな原因は、レギュラーシーズンが長すぎるからです。選手やチームにとって、「プレーオフシードの順位はそれほど重みがない=82試合中の1試合はそれほど重みがない」のは事実。
リーグ全体1位あるいはカンファレンス1位を目指す必要がなく、レギュラーシーズンは体力温存しながらプレーオフ圏内を目指し、プレーオフに突入したら本気出す。これが優勝するための鉄則となりつつあります。
- だったらレギュラーシーズの試合数を減らして、いままで以上に1試合の重みをもたらせよう
- 試合数を削減すれば連戦も減るし、選手は体力を温存できる
そんな声があがってきそうですが、ただ単に試合数を削る解決策は、間違いないく拒絶されてしまいます。特にチームのオーナーは100%拒否するはず。
なぜなら、試合数が減れば収益も減るからです。たとえ82⇒78試合、たった4試合の削減であろうとチケット代や放映権など、本来得るはずのオーナーたちの収入が減ってしまいます。
そこで、試合数を削減する代わりに、カップ戦の導入を検討しているわけです…
④トーナメント形式のカップ戦の導入
- 変更⇒レギュラーシーズン途中にトーナメント形式のカップ戦を導入する
- 目的⇒“ロード・マネジメント”をなくしつつ、レギュラーシーズン途中を盛り上げること
ロード・マネジメント防止のために、レギュラーシーズンの試合数を削る案はオーナーたちが承諾しません。そこで試合数を減らす代替策として、トーナメント形式のカップ戦の導入が検討されています。
ヨーロッパのサッカーリーグを参考にしているカップ戦の導入によって、
- ロード・マネジメントの防止
- 長いレギュラーシーズンの中だるみの解消
- NBAファイナル優勝を狙えないチームにも“意味のある”試合をもたらす
ことによってリーグ全体の盛り上げを狙っているそうですが、問題となりそうなのは開催時期。
かりにカップ戦を新たに導入するとしたら、シーズン序盤(アメリカの感謝祭(11月の第4木曜日)~クリスマス頃の間)に行われるとのこと。つまり、NBAの新シーズンが開幕してからたった1か月後となります。
この早すぎる開催は、他の時期が勝手が悪いからです。
- 10月後半~11月中旬はNBAの新シーズンが始まったばかりで早すぎる
- 1月~2月前半はNFLのシーズン終盤と被ってしまい、カップ戦の盛り上がりに欠ける
- 2月中旬はNBAオールスターと被ってしまい、カップ戦の盛り上がりに欠ける
- 3月はNCAA(大学バスケ)のマーチ・マッドネスと被ってしまい、カップ戦の盛り上がりに欠ける
- 4月はNBAレギュラーシーズン終盤となり、プレーオフが控えている中、カップ戦の価値がなくなってくる
この時期が早すぎるカップ戦は他に問題があると思っており、、
まあ、ここからは個人的な意見を語っていきます。
NBAが検討中の新ルール、解決しなけばならない問題はたくさん
さて、ここからは4つの新ルールを振りかえりつつ、個人的な意見を述べていきます。
新ルールその①
- 変更⇒プレーオフのカンファレンス・ファイナル(ベスト4)以降の組み合わせを変更する
- 目的⇒もっとも強い2チームをファイナルで対戦させること
新ルールその②
- 変更⇒各カンファレンス7位~10位でプレーオフの2つの座を争う
- 目的⇒シーズン終盤の“タンキング”の防止
新ルールその③
- 変更⇒レギュラーシーズンの試合数を82⇒78に削減する
- 目的⇒“ロード・マネジメント”をなくすこと
新ルールその④
- 変更⇒レギュラーシーズン途中にトーナメント形式のカップ戦を導入する
- 目的⇒“ロード・マネジメント”をなくしつつ、レギュラーシーズン途中を盛り上げること
プレーオフのカンファレンス・ファイナル(ベスト4)以降の組み合わせを変更する
めちゃくちゃ大賛成。むしろ、1回戦からイースト、ウェストをごちゃまぜにしてプレーオフの組み合わせをレギュラーシーズンの順位ごとに並べ替えてほしいくらい。まあ、そうなると移動が大変になってしまうのかな…)
この制度によって、毎年言われ続けているウェスト強すぎる問題(あるいは将来的にその逆)を解決できるし、もっとも強い2チームによるNBAファイナルがみれるだろう。そう考えるると大賛成。
カンファレンス7位~10位でプレーオフの2つの座を争う
単純にシステムとしておもしろそう、なので賛成。
たとえば2019-20年シーズンのウォリアーズ。もし左手を骨折しているカリー、前膝十字靱帯を損傷しているトンプソンがシーズン終盤に復帰し、ギリギリ10位に滑りこめることができれば、番狂わせでプレーオフの上位まで駒を進めることができっちゃったり?!
でも、この制度によって新たな問題が浮上してきそう。ドラフト指名順位はどうなっちゃうのでしょうか。7位のチームが2連敗してプレーオフを逃す、さらに翌年のロッタリーピック対象外だったら悲惨だな…
レギュラーシーズンの試合数を82⇒78に削減する
賛成。NBA大好きですが、ぶっちゃけレギュラーシーズン82試合は長く感じてしまう。ロード・マネジメントでエース級の選手が欠場するなら、シーズンを短縮してほしい。
まあ、収入が減ってしまうオーナーたちはシーズン短縮を絶対に許すはずがないが…
レギュラーシーズン途中でトーナメント形式のカップ戦を導入する
反対、ではないが賛成もできない。
ファンたちは、カップ戦に熱中するのでしょか?どこが優勝しようが、そんな大事でしょうか?推しチームに優勝してほしいのは、NBAファイナルであって、カップ戦の行方なんて気にする人は少なそう。
そして選手やチームは、もっとどうでも良さそう。たとえばプレーオフに必ず進出できるとか、翌年のドラフト指名順位の○○以内の確定とか、カップ戦を優勝した褒美がないと誰も真剣にならない気が…
以上です。
NBAが検討している新制度に関する情報がアップされ次第、ブログを更新していきます!