映画レビュー

【ネタバレ感想】『ジョーカー』は感情移入できるけど同情はできない

ホアキン・フェニックス主演、映画『ジョーカー』のレビューです。

結論から言うと、めちゃくちゃよかった。

 

以下、ネタバレあり感想。具体的には、

  1. ホアキン・フェニックスは「独特かつ新しい笑い方」を生んだ
  2. ジョーカーには感情移入できる、けど同情はできない

の2点に絞り、この映画の素晴らしさを語っていきます。

 

スポンサーリンク

【はじめに】映画『ジョーカー』と『ダークナイト』は比較できない

当ブログでよく読まれてる記事「なぜ『ダークナイト』のジョーカーが史上最高の悪役なのか」では、ヒース・レジャー版ジョーカーがいかに素晴らしい悪役かを解説している。

関連記事
なぜ『ダークナイト』のジョーカーが史上最高の悪役なのか

今、この記事を書いてる2018年は『ダークナイト』公開10周年にあたる。   もうあれから10年も経ったのか。   ということは、ヒース・レジャーの死から10年か... &nbsp ...

続きを見る

 

今回の『ジョーカー』レビューにあたり、『ダークナイト』のジョーカーと比べようかと考えた。

けど、無理ですね。

 

なぜなら、以下2点が決定的に違うから。

  1. ホアキン・フェニックス演じる『ジョーカー』は悪役ではない
  2. 素性が分からない『ダークナイト』のジョーカー、対する『ジョーカー』は素性が明かされる

 

ホアキン・フェニックス演じる『ジョーカー』は悪役ではない

『ダークナイト』には、バットマンというヒーローがいて、その反対側にジョーカーというヴィランがいる。善のバットマン vs 悪のジョーカー。

『ダークナイト』のジョーカーは悪役。

 

対する『ジョーカー』には、ヒーローがいない。ジョーカーの敵であるバットマンは出てこない(まあ一応若い頃のブルース・ウェインは出てくるけど)から、ジョーカーは悪役にはあたらない。

『ジョーカー』はむしろ「かわいそうな社会的弱者」として描かれている。

 

この2つの作品、ジョーカーの立場がそもそも違う。

 

素性が分からない『ダークナイト』のジョーカー、対する『ジョーカー』は素性が明かされる

素性が不明な『ダークナイト』のジョーカー。どこで生まれ育ち、誰と血縁関係があり、どんな仕事をして生活しているのか。どのようにしてジョーカーに変貌したのか。

本当の姿が分からないからこそ、ジョーカーの思考や行動が理解できず、「狂ってる・不気味・コワイ」と感じてしまう。バックグラウンドが説明されないからこそ、どんな辛いことがあったのか分からず、感情移入ができないように撮られている。

 

一方、『ジョーカー』は素性が明かされる。本名はアーサー・フレック。夢はコメディアン。母親と二人暮らし。貧困街に住んでる。精神病にかかっている。職を失う。出生には秘密がある。

バックグラウンドが説明される『ジョーカー』では、「なるほど、こんな辛いことが立て続けにあったのか。だからジョーカーになってしまったのか」となんとなく理解、なんとなく感情移入してしまう。

 

この2つ作品、ジョーカーの視点もキャラそのものも、全然違う。だから比較することは難しいんじゃないでしょうか。

 

スポンサーリンク

『ジョーカー』のここが好き! 「独特かつ新しい笑い方」と「感情移入はするけど同情はできない」

さて、ここから『ジョーカー』のネタバレ感想です。具体的には、

  1. ホアキン・フェニックスは「独特かつ新しい笑い方」を生んだ
  2. ジョーカーには感情移入できる?? けど同情はできない

の2点に絞り、この映画で素晴らしいと感じたことを語っていきます。

 

ホアキン・フェニックスは「独特かつ新しい笑い方」を生んだ

「ホアキン・フェニックス 作品」

映画『ジョーカー』を観終ってから、ググってしまうに違いない。それほどホアキン・フェニックスの演技が、素晴らしく、度肝を抜かれた。

 

なかでもスゴイと思ったのが、笑い方。

今までのジョーカー(“悪”にあたる人)は「本当に楽しんでる場合」に笑う。もしくは、「相手を威嚇するため」に笑う。

 

しかし、『ジョーカー』は「笑いが止まらない」という病気のせいで、自分の意向に反して勝手に笑ってしまっている。笑っているのではなく、笑ってしまっている。

笑ってしまっている『ジョーカー』は決して楽しそうじゃない。むしろ苦しそう。笑い過ぎて咳きこみ、胸を抑える姿は肉体的にも苦痛であることが感じとれる。本当は笑いたくないことが伝わってくる。

散々見尽くしてきたジョーカー(“悪”にあたる人)の笑い方。名優ホアキン・フェニックスでなければ、今さらこんな「独特かつ新しい笑い」は生まれなかった。そうに違いない。

 

ジョーカーには感情移入できる、けど同情はできない

上記『ダークナイト』とは比較できないでも書いたが、バックグラウンドが説明される『ジョーカー』の前半ではなんとなく感情移入してしまうそれは、彼が経験してきた辛い過去、見捨てられた社会への不満などが、視聴者も分かるようになっているから。だから「かわいそう」や「悲しい」とすこし感じてしまう。

 

とはいえ、同情はできないなぜなら、ものごとが「ジョーカーの視点=ひょっとしたらただの被害妄想かも?」と捉えられるから。

 

映画後半になっていくと、ジョーカーは幻想癖があることが分かる。親密な関係だと思っていたソフィー・デュモンド(演:ザジー・ビーツ)からは、実は変人扱いされてかなり警戒されている。一緒にデートしたことは、ジョーカーのだだの妄想。母親ペニー・フレック(演:フランセス・コンロイ)の看病のために病院まで来てくれたこともジョーカーの妄想。

「何がホント」で「何がウソ」なのか。ひょっとしたら最初から、すべてジョーカーの妄想にすぎなかった可能性すらある。これが映画後半から分からなくなっていくので、映画前半で感じた「かわいそう」や「悲しい」が少しずつ薄れていく。

 

感情移入しちゃう

あれ、ただの被害妄想?

だとしたら同情はできない、ぞ?

この「感情移入しちゃう、けど同情はできない」バランスと視点は、スーパーグレート。

出つくしているジョーカーの物語はベタかもしれないけど、この描写は斬新。

 

スポンサーリンク

『ジョーカー』のあらすじ・作品情報

「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる!

『ジョーカー』公式ウェブページより抜粋

 

【原題 
『Joker』

【監督】
トッド・フィリップス

【上映時間】
122分

【日本公開日】
2019年10月4日

【出演】
ホアキン・フェニックス
ロバート・デ・ニーロ
ザジー・ビーツ
フランセス・コンロイ
ブレット・カレン

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

関連する記事

-映画レビュー

Copyright© 冬来いよ , 2019 All Rights Reserved.