「○○の続編、製作決定!」
この○○にあたる作品が好きであればあるほど、めちゃくちゃ嬉しいし、めちゃめちゃ楽しみ。
と同時に、不安になりませんか?
あの大好きだった作品、感動的なエンディング。これらが続編によって壊されてしまったら…
この記事は、
- TVシリーズ「ブレイキング・バッド」が絶賛されてる理由
- 続編映画『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』の感想
を書いています。ネタバレありです。
この記事のもくじ
TVシリーズ「ブレイキング・バッド」絶賛の理由は「右肩上がり」と「完璧なエンディング」
ここはTVシリーズ「ブレイキング・バッド」のネタバレ感想を少しだけ。続編映画『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』の感想だけをみたい方は、読み飛ばしてください。
歴代のTVシリーズ・ランキングで必ずと言っていいほど上位に食い込んでくる「ブレイキング・バッド」。
- 世界的有名なレビューサイトIMDbでは歴代5位
- アメリカ雑誌Rolling Stoneでは歴代3位
- イギリス雑誌Empireでは歴代2位
なぜ、「ブレイキング・バッド」はここまで絶賛されているのか。ぱっと思いつくだけでも、
例① ストーリーが斬新だから
ダメダメの主人公が栄光をつかむ定番のサクセスストーリーと真逆。主人公の「善いヤツ」が「悪いヤツ」に堕ちていくストーリーが斬新だから。
例② 演出がうまいから
フラッシュフォワード(※未来のできごとを挿入する技法、フラッシュバックの逆)の使い方がうまいから。先にオチを見せときながら、十分に楽しめような変わった演出になっているから。
このような細かいポイントは本当に素晴らしいし、一個一個あげていくとキリがないほどたくさんある。
だけど、、
「ブレイキング・バッド」が絶賛されてるもっとも大きい理由はココではないか。
ストーリーが進むにつれ、どんどんどんどん面白くなること
そして
視聴者が「納得」できるような完璧なエンディングで締めくくったこと
ストーリーが進むにつれ、どんどんどんどん面白くなること
右肩上がりでおもしろくなっていく「ブレイキング・バッド」は本当にスゴイ。シーズン1よりもシーズン2。シーズン2よりも3、よりも4、よりも最終シーズン5。
シーズン4の最終話で”ガス”・フリングが消され、爽快だった反面、「シーズン5がつまんなくなってしまうんじゃないか?」と不安に思った人も多かったはず。そしてその方たちは、不安がぶっ飛ぶような、「期待以上の最終シーズンだった」と感心できたはず。
下記のグラフは、世界的に有名な評価サイト「Metacritic」と「Rotten Tomatoes」における「ブレイキング・バッド」の総合スコア。見ての通り、途中から“中だるみ”せず、エンディングを迎えたことがわかる。
TVシリーズだけではなく、映画でも「続編」や「エピソード3」と徐々にピッチをあげていき、最後のシーズン/エピソードが一番おもしろかったと思える作品はかなりレアケースじゃないでしょうか。
視聴者が「納得」できるような完璧なエンディングで締めくくったこと
また、「ブレイキング・バッド」が愛されてる理由は「完璧なエンディングで幕を閉じたから」でしょう。完璧といえるのは、視聴者が「納得」できたからだと思う。
- ウォルターなら、悪人を全員始末することは納得できる(リディアにリシンを盛る、丁寧な伏線回収も素晴らしかった)
- ウォルターなら、ジェシーを救い出すことは納得できる(本当は死んでほしいわけではなく、愛してるという証明)
- ウォルターなら、稼いだお金を家族にわたす方法をみつけだすことは納得できる(エリオットとグレッチェンを利用して慈善募金にみせかける)
そして、ウォルターがやってきたことは家族ではなく「自分のためだった」と納得できる。
シーズン5最終話「Felina(フェリーナ)」より。
ウォルター:
私のしたことはすべて…
分かって…
スカイラー:
聞かなくても分かる
どうせまた
家族のためだったと言うんでしょ
ウォルター:
自分のためにやった
好きでやった
私には才能があった
それに
心から
実感できた
生きていると
「自分のためにやった」
最終シーズン最終話に、ウォルター本人の口から出たこのセリフのおかげで、視聴者は「納得」して物語に幕を閉じることができたはず。
「家族のため、と言い続けたウォルター。やっぱり自分のためだったんだね。」と視聴者の心にスッと入ってくるような完璧だったエンディングだった。
そんな有終の美をかざったTVシリーズの続編映画『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』は…
『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』はジェシーの物語を見事に完結させた
『エルカミーノ』は続編というより、完結編。表現としては「完結編」のほうがあっていると感じた。
考えてみると、TVシリーズの最終シーズン5では、ジェシー以外のメインキャラクターたちの結末が視聴者にわかるようになっていた。
- ウォルター⇒死亡
- ウォルターの家族のホワイト家⇒安全だが、常に警察に監視されてる身(スカイラーがまたタバコを吸いだしたので、心が不安定であることが分かる)
- ハンク⇒死亡
- マイク⇒死亡
- ソウル・グッドマン⇒人消し屋の力をかりて逃亡
- トッド(とギャング)⇒死亡
- リディア⇒たぶん死亡(毒のリシンを盛られた)
ところがジェシーは、なんとも言えない微妙な表情で泣け叫びながら、エルカミーノ(シボレー車)で逃走。情報はこれだけ。どこへ向かったのか。これから何をするのか。不明点が多すぎるまま、TVシリーズが終了。

出典:looper.com
そう考えると、『エルカミーノ』は完璧なエピローグ。ジェシーの物語を見事に完結させた。
人によっては、「大きなサプライズもなく淡々と終了したけど、これやる意味あったの?」と感じるかもしれない。
いや、でもそれでいいんですよ。
大きなサプライズ、番狂わせ、ド派手なアクションは、ジェシーの物語を完結させるのに必要ないんですよ。
おそらく、製作陣が伝えたかったジェシー・ピンクマンのラスト・メッセージはこれ。
ポイント
- 過ちを正すことはできないけど、人生のやり直しはできる。
- 振り回されてた人生に終止符を打つ。これからの生き方は自分で決める。
『エルカミーノ』のオープニングとエンディングのフラッシュバックより。
「オープニングのフラッシュバック」
マイク:
その歳で出直すならアラスカ
最後の未開地だ
何でもなれる
ジェシー:
アラスカか
やり直せる
何もかも
マイク:
かもな
ジェシー:
過ちを正す
マイク:
いや
それだけはできない
過ちを正すことはできない。
けどやり直しはできる。
「エンディングのフラッシュバック」
ジェシー:
君が前に言ってたことを思い出してた
宇宙に身を任せるって
それだよ
いい生き方だと思う
ジェーン:
実際はひどい生き方よ
今までずっと宇宙に身を任せてきた
自分で決める方がよっぽどいい
これからの生き方は自分で決める。
ラストフロンティア(最後の未開地)であるアラスカで第2の人生を歩む。
映画のタイトルにもなってる「エルカミーノ」はスペイン語で「道」を意味する。
『ブレイキング・バッド THE MOVIE』ではジェシー・ピンクマンの「エルカミーノ」を2時間でうまくまとめてくれたのではないでしょうか。
そして、我々がみるジェシーの最後の顔が、こっちでよかった。

出典:looper.com
最後に
以上、TVシリーズ「ブレイキング・バッド」と続編完結編『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』の感想でした。
- 「ブレイキング・バッド」
- 前日シリーズ「ベター・コール・ソウル」
- 続編映画『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』
はすべてNetflixでみれますよ!
また、『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』に再登場した12人のキャラまとめはこちら。
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